アカセニッキ(明瀬祐介日記)

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石井暁「自衛隊の闇組織」とかいうスリラー。

投稿日:2018年11月2日 更新日:

■石井暁「自衛隊の闇組織」(講談社現代新書)を読んだので、
以下にその内容と所感を書く。
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000315241

前回読んだのは「自衛隊失格」で、
図らずも自衛隊物が二作続くことになったが、
特に深い意味はない。

■自衛隊内に、防衛大臣にも内閣総理大臣にも存在を知られていない、
極秘の諜報機関が存在する。

“別班(べっぱん)”と呼ばれるその組織は、
陸軍中野学校からの流れを連綿と受け継いだ教育機関で
徹底的なスパイ教育を受け、育てられる。

その存在は昭和48年の金大中事件の際、
一瞬だけ浮かび上がったが、
再び姿を隠したまま存在し続け、
今も海外(主にロシア、韓国、中国)での諜報活動を続けているという-。

本書は、その名前を知った著者が、
自衛隊の幹部に接触し、
徐々に”別班”の存在を明らかにしていく過程を描いた
ノンフィクションである。

■はっきり言って、
信憑性は眉唾だと言わざるを得ない。

というよりも、自衛隊・政府側が
「過去にも現在にも存在しない」
と言っており、
著者の記事が
ほぼすべて名を伏せた関係者の取材からである以上、
私にはほんとか嘘か判断できないのだ。

■しかしこの本は読ませる。

著者が、自衛隊の幹部・元幹部(幕僚長クラスまで)
に長期にわたって慎重に接近し、
秘密機関について聞き出していく過程や、
自衛隊の取材協力者などから
「もうこれ以上聞くな」
「駅のホームでは最前列に立つな」
「痴漢でっち上げに気をつけろ」…
などと忠告される場面など、異様な緊迫感があり、
「もう嘘でもいい」
とさえ思ってしまうのだ。

極端な話、もし仮に全部嘘であったとしても許せる
というのは、傑作ノンフィクションの条件の一つだと思う。

■著者は
「内閣総理大臣にも防衛大臣にも知られていない秘密の情報機関など、
文民統制の原則を破る物であり、明るみに出して、
膿を出さなくてはならない」
と訴える。

私ももちろん
この主張には同意するのだが、
反面、本書は、この主張を広げることには
ちょっと失敗しているのではあるまいか。

諜報要員の試験として、
「階段は何段あったか?」
「トイレのタイルの色は何色だったか?」
「○○国はこの地図のどこにある?」
(正解は、「この地図には○○国はない」)
と聞かれるというくだりや、
別班員になったものが、
「同窓会には出るな」
「年賀状は出すな」
「近所づきあいもするな」
と命令され、家族にも壁を作り、
親友もいなくなっていく-、
というところなど、
私など一瞬、無邪気にも(かつ不謹慎に)
「かっこいい」
と思ってしまった。
(仮に本当だとしたら、
当事者はたまらないが…)

■果たして”別班”が本当に存在するのか。
いつか決定的な証拠が出てくるのか。

ちょっと今後の動向に注目してみたい。

(*ちなみに、
小野寺五典は、国会では
「別班など過去にも現在にも存在しない」
と答弁したが、防衛大臣在任中に著者が面会した際には、
「別班の件、いろいろな人に聞いてみたけど、よくわからない」
「私も変だな、という感じはもっている」
と漏らしたという。)

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