アカセニッキ(明瀬祐介日記)

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野茂は、細身で端正な、本物の野球馬鹿だった。

投稿日:2018年11月4日 更新日:

■NHK
「平成史スクープドキュメント 大リーガー NOMO ~“トルネード”・日米の衝撃~」
を視たので、その内容と感想を書く。
http://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=16105

平成7年に近鉄バファローズから
MLBドヂャースに入団した野茂英雄について、
当時の映像と本人のインタヴューを交えて振り返る-
というもの。

 

■今回初めて知ったのは移籍の際の近鉄球団と野茂の交渉過程。
野茂を慰留しようと、近鉄は破格の条件を出すが、野茂は
「メジャー行かせてください」
とひたすら頭を下げ続ける。
同席していた投手コーチがその熱に打たれて、
「社長、これだけ言ってるんだから
万歳して送ってやりましょうや」
と訴え、最後には近鉄も根負けするような形になったという。

これまでの私の知識では
「近鉄は最後まで認めず、
野茂は任意引退を使い、近鉄を振り切ってMLBに行った」
というものだったのだが、
この過程があるのとないのではだいぶ印象が違う。

(この番組では、名指しこそされないものの、
鈴木啓示は立花龍司などから、
野茂にただひたすら走ることを要求する馬鹿扱いを受けている。
それはまあ…。
それはさておき、現在の鈴木啓示に対する世評はちょっとからすぎる)

 

■その後、野茂がMLBでデビューし、
奪三振王を取り、新人王を取り、オールスターでも投げ、
ノーヒッターも成し遂げ、やや低迷後、またノーヒッターで復活する-
といったドラマがあったのは周知のとおり。

高いワインドアップのあと、
バッターとキャッチャーに背番号16を見せるように回転し、
キャッチャーの足元にフォークを落とす。

番組では、ティームメイトやライヴァル、関係者、そしてフアンが
MLB時代の野茂を回想する。
もちろんリップサービスもあろうが、
野茂が多くの人の記憶にとどまっているということが、
素直にうれしい。

久々に視るLAD時代の野茂は
端正な顔立ちと細身のシルエットで、
現役時代末期や、現在の野茂の印象があると、
「あれ? こんなに細かったっけ?」
と驚くほどだ。

ASで先発した際の当時の映像、実況が流れるのだが、
ここで私は涙が出そうになってしまった。

 

■野茂の現役時代末期には、哀しい印象がつきまとう。
私は彼のMLBでの再復活を見たかったし、
一度はワールドシリーズで投げ、勝ち、
シャンパンファイトを行なってほしかったのだが、
それも叶わなかった。

マイナーリーグを転々とし、ベネズエラに渡る野茂。

番組でインタヴュアー(大越健介)が、
「あの野茂英雄がこんなところで投げてる、
という気持ちはなかったんですか?」
と聞く場面があった。

野茂は淡々と答える。
「マウンドで投げるの好きでしたからね。
だから引退するの嫌やったし、
引退したあともやっぱり投げたいって思いましたし。」

興味の対象が金や名誉ではなかったのはもちろん、
野茂の場合、ティームでより多く得点したり、
よい個人成績を上げたり、
より多くの勝ち星を挙げて優勝する、
といった、”野球”への興味さえ、
他の選手よりも薄かった気がする。

彼が好きだったのは、きっと、
ピッチャーが思い切り投げ、
バッターが力強く飛ばし、
ランナーが疾駆し、
野手がボールを捕って、刺す、
といった、一つ一つの”プレイ”だったのだ。

 

■現在の大谷翔平について聞かれた際にも、
「投げ合いたいですね。
どんな球を投げるか打席にも立ってみたいしね。」
と答える野茂。

やっぱり、今でも野球馬鹿だった。

特に、「投げ合いたい」だけでなく、
「打席にも立ってみたい」という言葉が出たことが、
なぜか私をうれしくさせるのだった。
(そういえばこいつMLBで日本人初の本塁打打ってたもんな…)

明瀬祐介
acsusk@gmail.com

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