アカセニッキ(明瀬祐介日記)

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「新装版 真鍋博の鳥の眼 タイムトリップ60’s」。

投稿日:2019年3月7日 更新日:

■「新装版 真鍋博の鳥の眼 タイムトリップ60’s」
の内容と感想を書く。
http://mainichibooks.com/books/hobby/-60s.html

著者・真鍋博は、
昭和七年生まれ、平成一二年に死去。
この本は昭和四三年に発刊されたのが、
この度復刊されたものだ。

明治の吉田初三郎や、
平成の山口晃の系譜に属する、
鳥観図画家だが、
この、シャープな線画が、
モダニズム建築が少しずつ建とうとしている日本に
非常によく似合う。

 

■家の一軒、建物の一棟まで、
すべて描かれているかのような、
極細の美しい曲線、直線。

建設直後の霞ヶ関ビルディングから見た官庁街。
赤坂の電波塔が見える。

もちろん超高層建築はひとつもなく、
代わりに淀橋浄水場跡がある新宿。
前後に、ここで新宿騒擾事件やフォークゲリラがあるはずだ。

一番変わったのは渋谷で、
今日想像される渋谷的なものがほとんどない。

 

■そしてそれ以上に愉しいのが地方。
特に熱海が賑やかそうだ。

「黒四」という見開きには、
建物がほとんどないが、代わりに山の陰影が
これでもかと詳細に描かれている。

それでいてその次の「日本アルプス」は
「鳥の眼」という書名なのに
魚眼で書かれてていて飽きさせない。

建物や山たちから線が伸び、
その名前が書かれているのだが、
「奈良」「松江」という見開きなど、
百箇所以上書かれているのではないか。
「軽井沢」には有名人の別邸まで載っている。

その字が何といえばいいのか、
「昔の住宅地図」のような書体で、
私は大好きなのだ。

どの紙面からも、
著者の解説文からも、
各地の活気が伝わってくる。

 

■もちろん我々は、
この時代が単純な黄金時代ではなかったことを知っている。
その繁栄は、様々な要素が支えていたし、
水俣病を典型として、悲惨も不正義もあった。

それでも、この画集から感じられる
底抜けの元気さに、明るさに、
胸躍らされずにはいられない。

初代カローラか、2000GT。
開通直後の新幹線か、
あるいはクリーム色車体とあずき色ラインの
ボンネット型特急に乗り、
家族に見送られながら出発。
親戚の家か、旅館か民宿に泊まり、
湯につかる。
地名の書かれたペナントを土産にしよう-。

そんな気分になれる一冊である。

平成三一年三月七日
明瀬祐介
acsusk@gmail.com

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