アカセニッキ(明瀬祐介日記)

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映画

「The Matrix」をはじめて観た。

投稿日:2019年3月16日 更新日:

■映画「The Matrix」(「マトリックス」)をDVDで観たので、
内容と感想を書く。

この映画は平成一一年公開で、
公開当時十三歳だった我々昭和六十年生まれで
観ていないとまずモグリ扱いされる。

…が、私は観たことがなく、知っていた情報は、

・黒画面に緑字

・ネオ(キアヌリーヴス)と
モーフィアス(でかい黒人)、
エージェントスミスという人が出てくるが、
みんなグラサンで黒服

・この世は仮想現実で、
実際はAIが支配している。
ほんとは人はケーブルに繋がれている

・監督はナントカ兄弟と言う人で、
日本の「攻殻機動隊」とかから影響を受けた

・リンボーダンスで弾をよける

といったところのみ。

なぜこの有名な作品を
観ていなかったか、自分語りになるが、
長々と説明していきたい。

■「いかにも私の好きな映画じゃ
なさそうだよなあ…」

映画と言うのは
「ジャンル」「タイプ」「テイスト」
あたりの方向性の部分で
各人にとっての好みが大体決まり、
あとの「完成度」「出来」などは
「加点対象」くらいのものではないだろうか。

その、「基礎点」になる部分が、
事前情報を観る限りで
「Matrix」は、
どうにも私に合わなそうに感じたのだ。

特に以下の(1)(2)(3)である。

(1)「グロいの無理」

世の中にはもっとグロい映画はいくらでもあるが、
「Blade Runner」「帝都物語」
あたりが私の限界で、
この「The Matrix」になると、
もう完全に圏外だ。

例の、
「人の首の後ろからケーブルが繋がれたまま、
ローション風呂で
眠っていたところを起きる」
場面をTVで視て、
「あ、この映画俺には無理や」
と感じた覚えがある。

そして実際にその予測は正しく、
この映画では、
虫型の小型機械が腹に埋め込まれたり、
虫型の大型機械が襲い掛かってきたりする。

何でこの世にそんなものを
好んで観たい人がいるのか
心底分からないのだが…。

(2)「ディストピアが嫌い」

現実がすでに暗いのに、何で映画で
もっと暗い未来を観なきゃいかんのか。

「The Matrix」でも、
AIが人間を支配し、
人がケーブルに繋がれ、
戦争により太陽光が届かなくなった、
22世紀くらいの未来-、
が、(悪としてだけど)描かれている。

こういうのを観るだけで
陰鬱な気分になる私は、
「火の鳥」や「AKIRA」なんかも
苦手である。

(3)「アクション興味ない」

「数学はパズルのようで面白い」
と言った人に対して、
「パズルも面白くない」
と言ったのは小谷野敦だった。
これは別に小谷野が
ひねくれているわけではなく、本当に、
「何が楽しいのか分からない」
のだろう。

今の私は、
ミュージカルの楽しさが
ある程度分かる。
が、子どものころは
歌っている意味が分からなかったし、
大人になっても分からない人は多い。

まじで何が楽しいのか分からない」。

そして、私にとっての「アクションもの」が、
これに当たる。

映画の中で、
相手の攻撃を間一髪でかわしたり、
相手を殴ったり投げ飛ばしたり
しているのを観ても、
「いや、それのどこが面白いのか」
早く本筋に戻れ
としか思えないのだ。

「007」なんかも、ジェームズボンドが
ビルのてっぺんで敵と戦って落ちそうになったり、
相手の車の上に飛び乗ったりしているのを観ても、
何の感慨も興奮もわかない。
(半ば生理的にどきどきはするが、
「よかったあ」「楽しい」とかは思わん)

「勝った」とか「負けた」とか、
「怪我した」とか「助けられた」とか、
後の物語に影響する部分だけ
ナレイションで説明してくれりゃいいんだが。

■……前置きが長くなったが、
で、そんな私はこの映画を観て
どう感じたかというと……。

あ、わりと面白いな。
「……まあ観て損はなかったな。

……いや、
これは結構すごいことだ
思いますよ。

上述のように、映画の好みというのは、
映画の目指す根本的な方向性
「ジャンル」「タイプ」「テイスト」
といった部分でほぼ決まる。
それが全く私に合っていないのに、
それでもある程度プラスに持ってきている。

全くこういうのが好きじゃない私ですら
ちょっと面白いと思ったくらいなので、
これなら好きな人は好きになるだろう。

というわけで、二〇年遅れではじめて観た
映画「The Matrix」は、
「好きな人が神格化するのも分かる」
というくらいに傑作だった。

平成三一年三月一六日
明瀬祐介
acsusk@gmail.com

(ちなみに同じような感想を持てた映画に
「Mad Max : Fury Road」や、
「Kill Bill」
があり、やはり全然好みではないが、傑作なのだろう)

(以下、どうでもいいこと)

■この映画を、
「自分の本当に望むことを消され
生活させられざるをえない、
現代の高度資本社会・高度情報化社会を批判し、
それに叛旗を促す」、
現代社会批判の映画として観て、
SF設定を比喩とする観方はできるし、
よくあると思う。
(マルクスなら、これを「疎外」というが、
根本的に規則を愛するマルキシズムには合わなそうだ)

似たような主題の映画として、
「Fight Club」
「Total Recall」
「The Trueman Show」
といった作品群があろう。

なんというか、
“反体制”ではあるが、
“国家”や”政府”以上に、
“巨大企業”や、
それらの作る”社会システム”なんかを
主敵と見なし、
その社会システムに
いやいやながら/無意識に/嬉々として、
乗っかる”大衆”も忌避し、覚醒を求め、
それでいて秩序や規則や優しさ、
つまり民主主義や社会主義や
ポリティカルコレクトネス
なんて毛嫌いする”反体制”
とでもいうか…。

大して映画を観ていない私でも
ぱっと挙げられるくらいなので、
いくらでもあるのだろう。

こういう、
(本当は過激な)反体制カルチュアが
あまり反体制にならず、
世界で大ヒットする娯楽作品になるあたりに、
アメリカ文化の幅というか懐の深さを感じ、
私はうらやましく思う。
(って「The Matrix」も
観たことなかったくせにえらそうに)

■この映画は
「この世はすべて作られている」
という、
「水槽脳仮説」
をそのまんま映画化したわけだが、
私は「水槽脳仮説」自体に、
「そんなら別に水槽脳でええやん」
としか思えず、
「どうせいっちゅうねん」
となるところがあり、あまり興味がない。

■これは続篇を観れば
解決するのかもしれないのだが、
AIが人間を生かしている理由が、
「エネルギーのため」で、
ちょっとありそうもないように感じる。

■いかついグラサン姿しか観たことがなかった
モーフィアスは、眼鏡をはずすと思ったより童顔だった。

エージェントスミスも素顔が思ってたのと違う。

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