アカセニッキ(明瀬祐介日記)

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所感

「首相」や「社長」は各組織に一人でいいのか。

投稿日:2019年6月9日 更新日:

■ふと思ったのだけれども、
現在当たり前になっている、
「社長が一人しかいない会社」や、
「首相が一人しかいない国」
という組織形態は、実は結構危険なのではないだろうか。

 

■まず、緊急時、
トップが倒れたりした際にスムースな引継ぎが難しい。

もちろんどの組織にも副社長や副隊長がおり、
総理大臣も代理が5人くらい指名されている。
しかしその「副○○」も
普段からその仕事をやっていたわけではなく、
緊急時にすべての情報が頭に入った状態で引き継げるか、
というと、やっぱり難しいのではなかろうか。

情報やエネルギイのシステム論では
「冗長性」という言葉が必ず出てくる。

「いつ一個が潰れても大丈夫なように
予備・バックアップを作っておけ」-。

それで言うと、
「トップが一人」
という組織は、冗長性が足りないのではないか。

 

■また、社長や首相には休みがない。

もちろん休日は決まっていると思うが、
おそらくその日も本当は仕事が入っているだろうし、
いざ緊急事態ともなれば昼夜を問わず
出動しなければならないだろう。

このご時世、社長も首相も言う。
「しっかり休養を取れ」

しかしトップが休まないのであれば、
部下は休めない。
トップから休むべきなのだ。
しかしトップは休めないのであれば…

…これでは誰も休めないではないか。

 

■では、どうすればよいか。

誰でも思いつく案として、
「集団指導体制」
「合議制」
がある。
国だったら5人くらいの「首相」を置き、
話し合って決めるのだ。

常にトップに入るすべての情報が、
5人全員に入っている状態なので、
1人事故で欠けても即座に問題は出ない。

また、誰か1人いなくても
仕事は回るので、何日に1回かは完全に休むことができる。

いわば、ティームで仕事をシェアするのだ。
「首相ティーム制」である。

 

■実は歴史をみると、これに近い体制は少なくない。

鎌倉幕府初期の「十三人の合議制」や、
豊臣政権下の五大老、
昭和戦前の五相会議、
フランス革命後の総裁政府などがそれに当たるのだが、
いずれも短命だったり、破綻したりしている。
やはりパワーバランスが不安定なのだろう。

まあ3対2になったり、4対1になったりすると
難しいだろうな、というのは分かる。

 

■そんな中、200年間、
トップ定員4~5人で回し続けた組織があった。

江戸幕府老中。

「基本は月番制だが、重要事項は合議制」
という、上述の
「首相ティーム制」
とほぼ同じ枠組みだったという。

これがよほどうまくいったのか、
江戸幕府は極めて安定した泰平の世を過ごした。

 

■どの小説だったかで、司馬遼太郎が、
「”この体制は責任の所在が曖昧になる。
リーダーは一人であるべきだ”
と、西洋から指導され、
日本も明治以降は
“リーダーは一人”
という体制になった」-、
いうようなことを書いていた覚えがある。

ヨーロッパやアメリカが世界を支配していく中で、
いろんなものが世界標準になった。
「会社」や「(主権)国家」も
そもそもはヨーロッパやアメリカからスタートしたものだ。

「リーダー一人制」も
(もともと世界中にあったとは思うが)、
そんな、ヨーロッパ・アメリカ起源の
世界標準のひとつなのかもしれない。

 

■しかし、世界標準の中にも、
いろいろ不合理な物や、
無意味な物、今では意味のなくなってしまった物がある。

私たちが当たり前の前提にしている
「リーダー一人制」も、
実は別の可能性がありえるのでは、
と思えてならないのだ。

今こそ日本史上最も長く続いた権力組織
「江戸幕府」の知恵を
参考にしてみてもよいのかもしれない。

令和元年6月9日
明瀬祐介(あかせゆうすけ)
acsusk@gmail.com

-所感

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