アカセニッキ(明瀬祐介日記)

少しだけ役に立つ、または面白い内容を提供できれば。

所感

ケネディとニクソン、どちらがTVを分かっていたか。

投稿日:2019年7月16日 更新日:

■一九六〇年の、
ジョンFケネディとリチャードニクソンのTV討論会は
「見映えがよいケネディが、
冴えないニクソンに勝った」
ということのみ有名である。

こう結論づけられることもある。
「ケネディにはTVの力が分かっていたが、
野暮ったいニクソンには分からなかった」


■このとき議論されていたのは、
「アメリカはソヴィエトに対して優勢に戦っているか」
だった。
与党のニクソンはこれを肯定し、
野党のケネディはこれを否定する立場だ。

討論会で、ニクソンは言う。
「あきらかにアメリカはソヴィエトよりも豊かである。
アメリカ国民には、よりTVが普及している。」
それにケネディが返す。
「しかし、TVの台数はミサイルの数ほど重要ではない。
ミサイルの数において劣っていれば何にもならない」
「自分はTVなどよりも宇宙開発を重視する」-。

-そこで口ごもったニクソンは、大統領選に負けた。

当選したケネディは、実際に宇宙開発を重視し、
人間を月に送ることを宣言する。
それらの功績によって、宇宙センターの名前にもなった。


■三十年後、ソヴィエトはなくなり、
アメリカは冷戦に勝利した。

さて、アメリカが勝利したのは、
ミサイルをたくさん持っていたからだろうか、
人類を月に送ったからだろうか。

もちろんそういう軍事的な要因もあろう。
しかし、かりに月に着陸したのがソヴィエトであっても、
アメリカは冷戦に完全に勝利しただろう。

アメリカの最大の勝因は、
TVだったのだ。


■TVをはじめとする民生品を、
多くの国民に、大量に供給する力。

その豊かさを、外国に伝える、メディアの力。

そして、映画や音楽、衣装など、
娯楽、情報、流行を発信し、
アメリカへの憧れを作る、
ポップカルチュアの力だった。

冷戦において、
TVはミサイルや宇宙開発以上に重要だったのだ。

宇宙開発に代表される重工業に
メディア産業が取って代わり、
ハードウェア以上に、
ソフトウェアやコンテンツが圧倒的な力を持つ時代が、
もうそこまで来ていたのだ。


■ケネディはTVの重要性を認識し、
それを活用することでニクソンに勝ったが、
ニクソンはケネディよりも、
さらに正しく TVの重要性を認識していた、
と言えるかもしれない。

令和元年七月十六日
明瀬祐介(アカセ・ユウスケ)
acsusk@gmail.com
https://twitter.com/acsusk/

-所感

執筆者:

関連記事

“平成7年”の前後、子供の世界にもあった、ちょっと不連続な変化について。

■すべての時代区分は、こじつけである。 社会全体として時代がいつ変わったなどというのは データ等で証拠を示すことはできないし、 結局は人それぞれ、見方によって変わる。 また、あるときを境に、時代にくっ …

大学に行ったら高校の知人との連絡を断て。

■いきなり結論である。大学に行ったら高校の知人との連絡を断て。 …とまでは言わないのだけれど、これは少しだけ選択肢として考えるくらいはあっていいと思うし、私としては強くおすすめする。特に、高校時代、わ …

no image

現代はマニアを名乗るのも難しい。

■現在はSNSの発展で、「井の中の蛙」になるのも難しい。と言われる。 私は一九九〇年代後半から二〇〇〇年代前半期に茨城で中高生を過ごした。そういう環境では、ヂャンルによっては、「周りで一番自分が詳しい …

なぜ、「個人年金の義務化」が議論されないのか。

■年金が話題になるたびに不思議なのが、(支払額や、支払主体に一定の規制をもたせた、)「個人年金の加入義務化」と「公的年金の(段階的な)縮小」が、ほとんど話題にならないことだ。   ■別にとりたてて突飛 …

高校野球の球数制限に、”原理的には”、反対する。

■平成30年の夏は、高校野球が盛り上がった。 毎年のことだが今年も何試合も一人で投げる投手が現れ、 しかも今年は過去にない暑さだったため、 投球過多の問題が、いつにもましてクローズアップされた。 「高 …