アカセニッキ(明瀬祐介日記)

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「懐かしい物についての新しいことを言えなくなった」問題。

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■インターネットには、
「もう誰も、懐かしいことについての
新しいことを言えなくなった」
という問題がある。


■私が高校のとき、
二〇〇〇(平成十二)年前後の
「2ちゃんねる」では、
いろんな「懐かしい物」について
様々に熱く語られていた。
例えば
「大長編ドラえもんのび太の鉄人兵団」とか
「一九八八年の近鉄バファローズ」とか、
「一九八九年秋のオグリキャップ」とか、
「大河ドラマ黄金の日日」とか、
「バイク事故前のビートたけし」とか、
「輪湖時代の大相撲」とか、
「にこにこぷん」とか、
「ウインスペクター」とか。

当時のネットは、
ただ単純に好きな漫画の好きな場面を語るだけでも、
かっこいい選手の凄いプレイについて話すだけでも、
ちょっとマニアな話題であれば、それはほとんど、
インターネットで初めて語られること
であって、新しかったのだ。

もちろんパソコン通信という前史はあったけれど、
少なくとも、
懐かしいことについての、
あんまり誰も言わなかった視点

が、新たに追加される可能性は、
まだ残されていた。


■また、当時は、
今ほど気軽に
「懐かしい物」
を見ることができなかった、
というのもある。

今、オグリキャップのレイスを視ようと思えば、
一〇秒で視ることができる。
あの頃、
「ウェブに動画がない映像」は
今よりも遥かにたくさんあった。
(三分のレイスを視るために
五分くらいかかった)

また、ヴィデオグラム化されていないものも多かった。
例えば「黄金の日日」や「ウインスペクター」は
VHSにもDVDになっておらず、
視ることがままならなかった。

娯楽やスポーツ関連には、
「テキストや表形式での記録すら、
ネット上にはないもの」
も珍しくなかった。

だから、皆ほぼ記憶と想像だけで
曖昧に語ることができた。

「そういえばこんなことがあったな」
「俺の持っている年鑑によると…」
というだけで
「あったあった!すげえなお前」
と感心されたし、
たまにマニアックが、
所有している録画映像なんかを出すだけで
「神」と呼ばれたのだ。


■インターネットは、
スマートフォウンによって劇的に普及したし、
回線速度も何百倍にもなった。
歴史も二〇年以上になった。

いろんな映像も見ることができるようになり、
記録も整備された。

今の懐古趣味者は大変だよな、と思う。
すべての話題が、もう何周もしてしまったし、
その実感も、みんながもっている。

別に何番煎じでもいいはずなのだが、
「誰かが言ってるだろうな」
と思いながらの発言は
やっぱりちょっと気が咎める。

今、懐古についてすら
懐古される時代になってしまったのだ。

令和元年七月十九日
明瀬祐介(アカセ・ユウスケ)
acsusk@gmail.com
https://twitter.com/acsusk/

-所感

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