アカセニッキ(明瀬祐介日記)

少しだけ役に立つ、または面白い内容を提供できれば。

所感

小説のない人生。

投稿日:2019年7月23日 更新日:

■告白しなければならない。

以前この日記で
「村上春樹で一番面白いのは『1Q84』!」
などと書いた覚えがあるが、
何を隠そう、実は私は「1Q84」を最後まで読んでいない。
俗にいう「エアプ」と言うやつだ。
ごめん、言ってみたかったんだ。

村上春樹自体数冊しか
読み切っていないのだ。
(「1Q84」、二冊は読んで、面白かった)


■こんなことを考えたのは、
今日、書店で「文芸評論家」の本を
手にしたからである。
その人はもちろん文芸評論家だけあって、
日本で普通に読まれるありとあらゆる
文芸書を読んでいるように見えるし、
それでもその人はたぶん
「自分はまだまだ読んでいない」
と言うだろう。

そこで私はふと考えてみる。
「私、この一〇年で
小説を一〇冊くらいしか読んでいないんじゃないか?」-。

つまり、文芸書を読んだことがほとんどないのだ。
(もちろん学術書をたくさん読んでいるわけではない)

人生で、最後まで読んだ文芸書を、
全部数えられるのではないか?


■というわけで、
(こういうのはやってる当人以外
全く楽しくないのだが、)
人生で最後まで読んだ長篇小説
を、正直にすべて数えてみた。
明らかに児童書に入るものを除いて
「小説」に属するもの全部だ
(ラノベは定義が難しいので入れた)。
(一冊の中に複数作が入っているものは
中短篇集として除き、
逆に「単行本一冊以上」のものは中篇の長さでも入れた)


■(明瀬祐介が三十三年の人生で
最後まで読んだことがある小説一覧)

赤染晶子「乙女の密告」
朝井リョウ「桐島、部活やめるってよ」
浅田次郎「メトロに乗って」「活動寫眞の女」
芦原すなお「青春デンデケデケデケ」
綾辻行人「十角館の殺人」
新井紀子「おしまいの日」「チグリスとユーフラテス」
飯島和一「始祖鳥紀」
池井戸潤「七つの会議」「陸王」「下町ロケット」
伊坂幸太郎「重力ピエロ」
石田衣良「娼年」
一穂ミチ 「きょうの日はさようなら」
乾緑郎 「完全なる首長竜の日」
歌野晶午「葉桜の季節に君を想うということ」
大崎善生「パイロットフィッシュ」「アジアンタムブルー」「タペストリーホワイト」「ディスカスの飼い方」
小川洋子「博士の愛した数式」
恩田陸「六番目の小夜子」
喜多川泰「「また、必ず会おう」と誰もが言った。 」
貴志祐介 「黒い家」「青の炎」 「天使の囀り」「新世界より」 「悪の教典」「雀蜂」
銀林みのる「鉄塔 武蔵野線」
小松左京「日本沈没」「首都消失」
近藤史恵「サクリファイス」
堺屋太一「平成三十年」
酒見賢一「後宮小説」「墨攻」
佐藤多佳子「一瞬の風になれ」
沢木耕太郎「血の味」
塩田武士「盤上のアルファ」
新城カズマ 「サマー/タイム/トラベラー」
司馬遼太郎「梟の城」「花神」「竜馬がゆく」
島田荘司「帝都衛星軌道」
瀬名英明 「パラサイトイヴ」「ブレインヴァレー」「八月の博物館」「あしたのロボット」
谷甲州「日本沈没第二部」
谷川流「涼宮ハルヒの憂鬱」
筒井康隆「ロートレック荘事件」
津原泰水 「ブラバン」
中沢けい「楽隊のうさぎ」
長野まゆみ「少年アリス」
七月隆文 「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」
野崎まど「know」
野沢尚「龍時 2001-2002シーズン」
東野圭吾「白夜行」「流星の絆」
百田尚樹「BOX!」
平野啓一郎「日蝕」
船戸与一「テロリストのパラソル」
湊かなえ「少女」
三島由紀夫「金閣寺」「奔馬」
宮尾登美子「藏」
宮部みゆき 「魔術はささやく」「火車」「理由」「模倣犯」「ソロモンの偽証」
村上春樹「スプートニクの恋人」「アフターダーク」「色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年」
村上龍「五分後の世界」「希望の国のエクソダス」
森博嗣「すべてがFになる」「冷たい密室と博士たち」「喜嶋先生の静かな世界」
山本文緒「プラナリア」「きみはきっと泣く」「絶対泣かない」
吉村昭「ポーツマスの旗」
和田竜 「のぼうの城」


■しょぼい!

三十三年でこれである。
忘れているのもあるかもしれないが、
読んだつもりで読んでいないものも少しありそうで、
どう考えても一五〇冊は行かないだろう。

おそらく「読書家」と呼ばれる人は
他に職業があっても一年もかからず
この分量をちゃんと「精読」してしまう。

また、内容も他人に自慢できるものではない。
「文学」と恰好良く言えるのはどう広めにとっても
一〇人くらいだ。
谷崎も川端も健三郎も慎太郎も、もちろんいない。
また、海外小説は一冊たりとも
読み終えたことがないことも分かった。

不思議なのは、
別に、
“面白い小説を最後まで読んだ”
というわけではない

ということだ。
このなかで
「面白かった」
と思えたのは七割くらいで、
一割くらいは「ひでえ」としか思えなかった。
(また、好きな作家の読了が多いわけでもない)


■さて、ここからこんなことを
つい口走ってしまいたくなる。

結局、自分の人生に小説は
要らなかったんじゃないか

決して小説というジャンルを
軽視したり、蔑視したり
しているわけではなく、
上記の中にはもちろん、
感銘し、興奮したものも
たくさんあった。

しかし、なにせ私は御覧の通り
本を読まないものだから、
「本を読む力」が弱く、いずれも
「わりと頑張って読んだ」
という面がある。

「それにしては…」
という思いが、どうにも募ってくる。

かりに一作も読んでいなくても、
自分の人生に多大な影響はないのではないか。


■思うに、「速読力」か「持続力」のような
「小説を読む力」がある程度ないと、
「どんどん小説を読んでどんどん楽しい」、
という状態にはならないし、
その「小説を読む力」はどんどん小説を読まないと
身に着けられないし、
「どんどん楽しい」状態でないと
どんどん小説を読めない。

そして、かなり若い頃にきっかけがないと、
「どんどん小説を読んでどんどん楽しい」
状態になるのはかなり難しいように思う。

令和元年七月二十三日
明瀬祐介(アカセ・ユウスケ)
acsusk@gmail.com
https://twitter.com/acsusk/

■(その後、思い出した物)
恩田陸「ドミノ!」
金城一紀「フライ, ダディ, フライ」
夏樹静子「デュアル・ライフ」
村上龍「69」

(思い出したら読んでなかったもの)
山本文緒「プラナリア」

(入れるのかどうか迷う連作短編集)
金城一紀「映画篇」「対話篇」
恩田陸「光の帝国」

-所感

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