
■映画「鍵泥棒のメソッド」(DVD)を
観たのでその内容の一部と感想を書く。
■殺し屋のようなことをして
大金を稼いでいる男・香川照之は
ある日銭湯で頭を打ち、
完全な記憶喪失になってしまう。
貧乏役者の堺雅人は、
香川が頭を打ち、記憶をなくしていることを利用して
金のありそうな香川になりすますのだった。
父が死ぬ前に結婚式を挙げたいと、
一か月の間に出会いを探していた
生真面目な雑誌編集者・広末涼子。
香川と広末が出会い、
広末は几帳面で努力家な香川に
徐々にひかれていく。
■私は「ピタゴラ装置」が好きである。
あるいは詰将棋が好きだ。
機械設計やプログラミングは分からないが
きっと似た要素があると思う。
シークエンス制御、
配線、配管にもありそうだ。
「マリオ」の、土管だらけの、
順番に通らなければ
ゴールにたどり着けない
面にも。
巧緻に組まれていること、
それ自体への感動。
すべてがつながっている、
その美しさ。
私もこういうのを
考えようとすることすらできない。
たぶんピタゴラ装置のことも
詰将棋のことも、
半分も理解できていない。
それでもこういうのを視るとき、
私はいつも、作った人間の頭の良さに
感動し、尊敬し、嫉妬する。
「どうしてこんな設計が思いつくのか」
そういう感動と、尊敬が、
この映画でも味わえ、
そして私はやっぱり少しだけ嫉妬した。
令和元年七月二十六日
明瀬祐介(アカセ)
acsusk@gmail.com
https://twitter.com/acsusk/
(以下、つけたり)
■香川照之は驚異的に几帳面な役で、
記憶喪失時も変わらず、
ノートを丁寧に取り、部屋を片付け続け、
その几帳面さを活かす。
こういうのは
たぶん生涯変わらないんだよなあ。
私は人間の上位一〇%に入るくらい
おおざっぱさで、
過去、几帳面になろうとしたが
なれなかった。
こういうのが本当にうらやましい。
■終盤のシナリオはもっと
波乱なくクリアを決めてもいいと思う。
■ところで、こういう
「コメディ」にジャンル名がほしい。
「シチュエイションコメディ」が近いが、
「場面転換があるか」という要素が絡み、
この作品は入らないだろう。
「ファルス」が近いし、
「状況喜劇」もあるが、
どれも定着していない。
「ある設定のもとで、
登場人物たちがいたって
真面目にがんばり、
その結果笑いが起こる」-。
「キサラギ」や
「サマータイムマシンブルース」
のようなコメディ。
うーん、やっぱり状況喜劇か。