アカセニッキ(明瀬祐介日記)

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映画

「Godzilla : King of the Monsters」の作り手は、怪獣少年の妄想を理解しすぎ。

投稿日:2019年8月22日 更新日:

■あまり大っぴらに
言うことではないのだが、
「昭和ゴジラ」については、
いわゆる「エアプレイ」である。

ビオランテや、
メカキングギドラや、
メガギラスは
実際に映像で観て、
怪獣と言う物が
大好きになったのだけれど、
ヘドラや、ガイガンや、アンギラスらの
激闘は観ないまま、
大人になった。
(「ゴジラファイナルウォーズ」
に登場したのは除く)

いずれ観なければ、
と思ってはいるのだが…。


■ただ、こういう、
怪獣が大好きだけど、
本当は(あまり)観たことがない、
という人は、
実はそれほど珍しくないと思う。

ある程度の年齢になると
怪獣映画を観たりするのは
ちょっと恥ずかしいことになったりする。

TVではそんなに放送しないし、
VHSのレンタルでも
そうたくさん視るわけではないから、
「観たことがある」と言う人でも、
「子どものころに何回か」
だったりはしないか。


■では僕たちはどこで、
怪獣を好きになったのか。

書籍やインターネットで、
怪獣について「読んで」いたのだ。

ぼくたちは怪獣図鑑や怪獣ウェブサイトを、
親や友達に隠れて読むことで、
怪獣への幻想をどんどんどんどん
肥大化させていった。
(そして、そのまま大人になってしまった)


■せんだって映画館で観た、
「Godzilla : King of the Monsters」
は、そういう「怪獣を読んだ人たち」の、
「俺たちが胸の中で膨らませた怪獣の幻想」を、
ほぼ全部実現してくれた、
夢のような映画だ。

映画自体は二〇一四年の
「Godzilla」の続篇。

日本の「シン・ゴジラ」とは、
制作主体も物語も関係ないが、
「シン・ゴジラ」は
リアル志向路線で、
夢をひとつ実現させてくれ、
「King of Monsters」は、
怪獣バトル路線でまたひとつ見せてくれた、
と言う点で、好一対をなしている。


■まずはモスラ。
「平和的」「理性的」という
従来のキヤラクター通り、
今回も無闇に殺さないし、
人類を助けてくれる。
その巨大な翅を広げた様は美しく、
「怪獣の女王」
という、ぴったりなフレイズもついた。

小美人はさすがに出てこないが、
それにあたる役割を果たしている
チャン・ツィイーが魅力的だ。
(これが小美人役だというのは
映画を観た後で知ったのだが)

もう一つ重要な
「ゴジラの天敵」
という設定は今回なかったが、
それでも重要な場面で大活躍するし
ゴジラから見ても特別な存在らしく、
やはり別格扱いだ。
(劇中でゴジラとモスラの間の感情を
「好意」とまで説明してしまったのは
ちょっと言い過ぎだと思ったが)

何よりうれしいのは、
古関裕而作曲の、あの、
エキゾティックでエロティックな
「モスラ」のメロディが使われていることで、
前作「ゴジラ」(二〇一四年版)では
あの伊福部昭の「ゴジラ」のテーマ曲が流れず、
残念な思いをしている。

今回は両曲とも使われており、
全く異和感がなく、
昭和映画音楽の水準が、
令和の世界にも通用することを示している。


■さて、次にラドンだ。

火山から登場し、
超音速で地上を破壊する。
キングギドラにも肉薄するほど強い。

平成年間を通してラドンは
なんか微妙な扱いだったが、
ついに暴れまくるラドン!

途中、キングギドラ側につくのはいいとして、
最後ゴジラにひれ伏す場面は
個人的には若干不満と言えなくもないが、
その気になればゴジラとも
互角に戦えそうな強さを発揮している。


■そして何よりキングギドラである。

古代、宇宙から来襲し、
人類を滅ぼす力を持った、悪の化身。
三つの首から稲妻のような光線を出し、
世界を破壊する天魔。

何より重要なのは、
「ゴジラ単体よりも圧倒的に強い」
ということで、
ゴジラに人類の支援がないときはもちろん、
人類がゴジラ側についた後も、
とにかくボコボコにしつづける。

今回のキングギドラは
でたらめに強く、
首がなくなっても再生するし、
光線の打ち合いでもゴジラを凌ぐ。
ゴジラを捕獲して飛び、
高度上空から落下させてしまう。
いいぞ!やれ!完封ペースだ!

残念なのはキングギドラの
テーマ曲が伊福部では
なかったことくらいか。


これこれこれこれ、
これが観たかったんですよ!

怪獣と同じくらい巨大化した妄想の具現化。

これを作った人は
俺たちの観たい妄想が
なんでこんなに分かってのだ。

なんという幸福感。
こういうことがあるから
生きててよかった。

(ちなみに監督のインタヴュー
https://jp.ign.com/godzilla-2/36048/interview/)


■さて、怪獣少年たちの
妄想のひとつに、
「ゴジラとキングコングとの再戦」
が挙げられよう。
この幻のカードは、
その「実現の困難さ」も含めて、
今なお、「夢の対決」になっている。

その実現が本作の最後でほのめかされるのだが、
もし「Godzilla vs. Kong」が出たら、
ぼくはやはり観に行こうと思う。

令和元年八月二十二日
明瀬祐介(アカセ)
acsusk@gmail.com
https://twitter.com/acsusk/


(つけたり)

■クモンガは出てきたけど、
世界各都市を襲う怪獣として、
アンギラスやバラゴンの姿も見たかった。


■映画としての難点を挙げると、
人間ドラマ部分が、
つまらなくはないものの
あんまり共感できない、
ということか。


■ちなみにキングギドラですが、
空を飛べるモスラやラドンはともかく、
歩いたり泳いだりするだけの
ゴジラとの戦闘は、
とにかく避け続ければ、
絶対負けないと思います。

-映画

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