アカセニッキ(明瀬祐介日記)

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スポーツ 所感

俺も優勝阻止してみたい。

投稿日:2019年9月9日 更新日:

■玉錦三右エ門という横綱がいた。
昭和戦前のころだ。
とにかく稽古の虫でめっぽう喧嘩好き。
ついたあだ名は「ボロ錦」「ケンカ玉」。

キヤラクターとしては
朝青龍に似ていたのだと思う。
土佐高知だしね。

そんな玉錦は、
昭和十三年春場所千秋楽、
初優勝を目前にした
三杉磯と対決することになった。

観客からは「負けてやれ」という声を受け、
前夜には、ヤクザからの脅迫も受けたという。

結果、玉錦がうっちゃりで三杉磯を倒す。
三杉磯の優勝は成らず、
優勝は常陸岩のものになった。

何が恰好良いって、
玉錦は常陸岩のことが大嫌いだったことだ。
(ほかに、美男で人気のあった
武蔵山の優勝も何度も止めている)

こうじゃなくっちゃなと思う。


■NPBでは昭和六十三年の
パシフィックリーグ。
バファローズが、
猛烈な追い上げを見せ、
最終日の二連戦で二連勝すれば
久々の優勝ということになっていた。

相手のオリオンズはすでに最下位。
オリオンズのホーム・川崎球場は
バファローズフアンが埋め尽くし、
その周辺の建物の屋上にまで、
人が集まっていた。

ここでオリオンズは全力を出す。

一戦目はバファローズが勝利、続く第二戦。
当時、一日二戦の場合には
「時間切れ」というルールがあったのだが、
これを意識してか、しないのか、
オリオンズの監督は
走塁をめぐって一〇分も抗議する。
結局一〇回で規定により試合は終了、引き分け。

優勝は、ライオンズのものとなった。
(翌年、バファローズは
最終盤にライオンズをボコボコにして、
優勝を果たす)


■小谷野敦のエセーに、
「俺も女を泣かせてみたい」
というのがある。

自分は人から嫌われることもあるが、
「人でなし」とか「冷酷」とか言われることはない、と。
確かに普通の男は
「極悪」とか「非道」とか生涯言われない。
この憧れはまあ分かる。

大貧民で革命を起こし、
「アタック25」で最後の1枚だけを取り、
「桃鉄」をカードで荒らしまわる。

満天下のブーイングを浴び、
ネットで誹謗中傷を受け、
世間を敵に回し、フアンの夢を打ち砕く。

ああっ、俺も優勝阻止してみたい。

令和元年九月九日
明瀬祐介(アカセ)
acsusk@gmail.com
https://twitter.com/acsusk/

-スポーツ, 所感

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