アカセニッキ(明瀬祐介日記)

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スポーツ 所感

ノーサイドホイッスルの想い出。

投稿日:2019年9月21日 更新日:

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■前にも書いた通り、
ぼくは一〇歳代の頃、
茨城県にある私立中高一貫校にいた。

この学校はラグビーが盛んで、
校技扱いされており、
部活は全国大会の常連である。
ぼくは部活はやっていなかったけれど、
授業で週二時間、六年間もラグビーやらされた。

体育の授業とはいえ、
最後に大会があり、
体力のあり余った若い男たちが、
ずっとそういう教育を受けてきている。
割と本気でやる空気ができていて、
ぼくですら、ぼくなりにまじめにやっていたのだ。


■さて、ラグビーには、
フォワードとバックスがある。
理想的には、
ガタイがでかくて押し合いに強い人はフォワードを、
足が速くてパス回しがうまい人はバックスを
担当するものだ。

が、素人ラグビーなので
そう都合よく人材は集まらない。
ラグビー部員はそれぞれ本職を担当する。
それ以外に、
サッカーとかバスケとかヴァレイボールとか、
球技慣れをしていて足が速い人は
バックスだ。
力が強い人、体が大きい人はフォワードである。

で、ぼくのように貧弱体型の運動音痴が
どちらに行くかと言うと、
なんとフォワードに回されるわけである。
パスを落とすと反則になってしまうし、
試合が止まってつまらないから、
まあ当然と言えば当然なのだが、この結果、
花園出場に青春を賭ける、
相撲の力士のような筋肉の塊と、
ぼくのようながりひょろ帰宅部が
フロントローで対峙する、
明らかにおかしいスクラムが
形成されることになった。


■ボールがラインオブタッチを割ったとき、
ラインアウトというイヴェントがある。

各チームのフォワードが一列ずつ並び、
ボール支配権を持ったティームの選手が、
ボールをその列の間に投げる。
それに合わせて、
突然騎馬戦のように二人で一人をもちあげて、
ボールを取り合うわけだ。

(ぼくの時代のぼくの高校の場合)
投げる人が、
「ヨン!アルファ!エー!」
とか、怪しげな記号を叫び、
味方は
(真ん中がアルファだから誰々を持ち上げるんだな…)
と、作戦を理解してその通りに行動する、
という仕組みだった。
ボールを投げる人は、
ボールの強さや高さや距離は変えてもいいけど、
まっすぐ投げなきゃだめ、
という、変なルールである。

この時は当然軽い者が持ち上げられることになり、
ぼくも何度か持ち上げられ、
一瞬だけ身長三メートルの大男になって
ボールを渡すことになった。

これが、フォワードにいるチビの、
唯一の利点だ。


■そして、こんな、 (玄人が混在する)
素人ラグビーであっても、
体育の授業であっても、
何かしら揉めて、
一触即発みたいになることがある。
スクラムを組む前に、
僕のティームのフォワードが、
敵ティームのフォワードと、
罵声を飛ばし合う、
という場面があった。
(なんで揉めたんだか忘れた)

ところが試合が終わり、
汚いヘッドキャップを外し、
汗だくのジャージーを脱ぐ頃には、
「なかったこと」みたいになってしまったのだ。

えらいもんだな、と感心した。


■これがノウサイドスピリットという物なのだろう。

もちろん本物は僕のような素人じゃなくて、
真剣にやっている人にしか出ない物だと思うのだが、
見ているだけでも、似たような感情が
生まれないわけではない。

TVでのラグビーワールドカップ放映、
八〇分間日本を応援しながら見ていたのに、
試合終了の瞬間、
「ロシアいいティームだったな」
と、ちょっとだけ思わなかっただろうか。
実況アナウンサーでさえ、
そんなニュアンスを
出していたような感じがあった。
(まあ勝ったからという余裕もある)

それが「ノウサイドスピリット」というもので、
本当に、自然に発生するのだ。

今回のラグビーワールドカップ、
四十四日間もあるらしい。

終わるころには、
この、「ノウサイドスピリット」が日本に定着する、
そんな秋になってほしい。

令和元年九月二十一日
明瀬祐介(アカセ)
acsusk@gmail.com
https://twitter.com/acsusk/

-スポーツ, 所感

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