アカセニッキ(明瀬祐介日記)

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「科研費」という戦時体制の遺物。

投稿日:2019年10月4日 更新日:

■「一九四〇年体制」
という言葉がある。

昭和十五年(一九四〇年)前後に
総力戦に向けて、
国家の人や物、全てを
「国家にとって有用なもの」
に集中させようと、
多くの統制経済的な制度が作られた。
源泉徴収制度も、
終身雇用制も
年功序列賃金体系も、
銀行融資中心の金融体制も、
下請けの垂直分業も、
経団連も、
町内会も、
国民保険も厚生年金も、
そのときに原型ができている。

「繁栄すべき産業は国が決めるのだ。」

これらの制度、そして国民意識は
戦後の国民の中に
当たり前のものとして存在しつづけた。
高度成長期・工業化時代には
それが有効なときもあった。
が、平成に入り、世界がウェブで動く時代になって
逆に日本経済の足かせになっている、
というのが、この説の骨子らしい。

(下記リンクがわかりやすい)

http://www.newsyataimura.com/%e3%80%8c%e7%b7%8f%e5%8a%9b%e6%88%a6%e4%bd%93%e5%88%b6%e3%80%8d%e3%81%a8%e3%81%84%e3%81%86%e8%a6%96%e7%82%b9%ef%bc%9a%e9%87%8e%e5%8f%a3%e6%82%a0%e7%b4%80%e9%9b%84%e3%80%8e1940%e5%b9%b4%e4%bd%93/


■さて、前置きが長くなったけれど、
「あんまり語られないけど戦時体制」
に、「科学研究助成費事業」がある。

この、文科省と日本学術振興会の審査によって
文系理系の研究者たちに提供される研究資金は、
昭和十四年(一九三九年)に創設された。

時節から想像されるように
当初は国家に有用な研究を選定して配分する、
というもので、研究者たちも、
「自分たちの研究がいかに国のためになるか」
ということを一生懸命
説明しなければならなかったようだ。

http://kua1.archives.kyoto-u.ac.jp/ja/wp-content/themes/kyoto-u-2014/img/kanko/pdf/newsletter_20.pdf

(上の著者は駒込武。
ちなみに私も一度だけ講義を聞いたことがあるが、
まあバリバリの左派の人だった)

今の研究者たちも同様に、
「自分たちの研究がいかに”社会”のためになるか」
ということを(時に無理やり)
押し込んでいるらしい。


■日本と同様に、
アメリカでもヨーロッパでも
基礎研究には公金が投入されている。

アメリカの自然科学を
配分しているNSFも、
軍需産業研究から発展したものだ。
(もちろん予算額は日本とは比較にならない)

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/siryo/attach/1300032.htm

世界的にも、自然科学研究は、
この資本主義全盛・民営化の時代に残された、
大規模公共事業なのだ。


■科研費は、文理を問わず、
研究者の命綱だから、
これまた文理を問わず、
いろいろな意見がある。

自然科学系や人文科学系の研究者の多くは、
「”役に立つ研究”
などというものは
分からないのだから
“選択と集中”
などできるものではない。
できるだけ多額の予算を、
広い分野に配分すべきだ」
というし、
社会科学系の研究者には、
「学問の自由があるのだから、
たとえ国家や政権を批判する研究であっても
認めるべきだ」
という人もいる。

どちらの意見も至極尤もだと、私も思う。


■しかし予算に限度がある以上、
その傾斜の度合いはともかく、
どこかでその「社会的意義」を
「審査」して「選択」して「配分」する、
という、社会主義計画経済的な営みをせざるをえない。
(日本と諸外国の違いは、その全体予算である)

また、学問の自由を
問題にするならば、
成り立ちからして
統制国家な発想から始まった、
科研費制度自体に難点がある。
国家による「審査」があると、
どうしても最後は、
国民や、政権や、担当者の、
「理解」や「良識」に頼らざるをえないのだ。
そもそも戦時体制に
学問の自由を求めることに無理がある。


■そもそも学術研究を
公金で行なうのは、
本当に最適なのだろうか。

戦時体制・統制経済は、
確かに高度成長期までは有効だったが、
今日ではその意義を失っている。

もちろん
アメリカでもヨーロッパでも中国でも
学術研究は主に公金で行なわれているけれど、
実はそこに、もっと良い方法があるのではないか。

というわけで
私は学術研究を
「公的部門」から切り離す、
という若干無理のある
提案をしたいのだが…、
残念ここで知力が尽きた。

その話はまた次回。

令和元年一〇月四日
アカセ(明瀬祐介)
acsusk@gmail.com
https://twitter.com/acsusk/

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