アカセニッキ(明瀬祐介日記)

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スポーツ

実際デイタ野球って「一プレイ単位」で使えんの?

投稿日:

■イチローが引退した。

その引退会見の中に、
「頭を使わなくなくても
できる野球になりつつある」
という言葉がある。

その言葉の解釈をめぐって
ちょっとした論争があったけれど、
近年、MLBで、デイタ重視に
なっていることについての憂慮からの
発言ということらしい。

私は野球経験がないし、
観戦も素人だから
素朴な疑問なんだけれど、
デイタなんか入れて野球できるの?

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43156650R30C19A3000000/

https://www.buzzfeed.com/jp/tatsunoritokushige/ichirotalk

https://toyokeizai.net/articles/-/281466


■といっても
近年のデイタ重視野球を
否定しているわけではない。
むしろすごく使えると思っている。

WHIPやOPS、RC27…。
近年はさらに複雑な指標があるが、
これらで選手の力を事前に測っておく、
というのは分かるのだ。
確かに、
「ティーム編成」
「スターティングメムバー起用」
といった、「戦略」「戦術」の部分では
役に立つことだろう。
だから監督やフロントが
「試合前」に使う、
というのは理解できる。

また、
個々の選手が試合後に確認する、
何か練習に役立てたり、
というのも分かる。

しかし試合中、
個々の「プレイ」に役立てるものなのか、
役立てている人がいるのか、
というのが分からないのだ。


■まず、野球のデイタが
個々の場面に役に立つレヴェルで存在するのか、
という問題がある。

抽出期間が長すぎると
変化(成長や衰え)の前後を含めてしまい、
適切なサムプルにならない。
普通に見ていても、
一年もすれば別選手だ。

かといって短すぎると、
サムプル数が少ない。
ある投手とある打者の対決は
年間で多くて二、三〇打席くらいではないか。

その三〇打席も、ランナーの状態や、
得点差、イニング、球数、
そして選手の調子など、
それぞれ場面は違う。

いろんな要素に重みをつけて、
「多変量解析」
のような分析をすることはできるだろう。
すると今度は
「○○が○%、××が×%」
みたいな、「確率分布」のようなものになってしまい、
実際に役立てるのが難しいのではないか。

http://baseballstatics.web.fc2.com/essays/sabr01.htm


■そして仮に、
「デイタから導かれる最善のプレイ方法」
が導かれるとしても、
それは一球進むごとに変化するので、
活用が難しいのではないか、
というのがもう一点だ。

選手はタブレットを持ったり、
イヤフォンをつけながら
プレイしているわけではない。
「ランナー三塁で、
二ボールス二ストライクスのカウントからは
この投手は絶対に変化球を投げる」
というような非常に有用なデイタがあるとしても、
それを全部覚えるのは不可能だろう。

ベンチでそれを把握して、
サインを使って伝達するにしても限度がある。

普通にやったほうがよくないか。


■インターネットの日本語サイトを見る限り、
「プレイ選択」という単位で
デイタを役立てている、
具体的な例で、
確実に存在するのが「守備シフト」だ。

デイタの活用が進むMLBでは、
近年極端な守備シフトが激増したという。

普通に考えて、
「極端な守備シフト」
に対しては逆側に打てばいいと思うのだが、
それでも打率を・〇〇三程度下げることができるという。
(直感的には
逆に打率が上がってしまうと
思っていたから驚きである。
大幅な変化ではなく、
「ほとんど変わらない」
というのも)

(ここに、「作戦」というものの
パラドキシカルな面がある、
と思う。
「お互いに作戦を考えた状態では、
“裏をかく”というのが
無限につづく」…みたいな)


■ほかの、投手側の配球とか、
打者側の配球予想とか、
あとは小規模な守備位置変更といったもので
「デイタ活用」しているものはあるのか。
存在するように書いてある記事もある。

結局、
「セイバーメトリクスって
“プレイ選択”という単位で役立つの?」

令和元年一〇月二十一日
明瀬祐介
acsusk@gmail.com
https://twitter.com/acsusk/

(つけたり)
■まあ俺が試合を見ろ、という話なのだが。

-スポーツ

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