アカセニッキ(明瀬祐介日記)

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回想

二〇一〇年のモントリオールエキスポズ。

投稿日:

■以前にも書いたけれど、
二〇一〇年夏、ぼくはひとりで
上海に行った。

泊まったのはホステルで、
四人部屋。

一緒の部屋になった人の中にに、
二十歳代半ばの女性がいた。

まあ想像できる一番美しい人を
頭に思い描いてもらえばいい。


■お互い英語で自己紹介をして、
彼女がカナダ人だということ分かった。

ぼくは聞いてみる。
「カナダのどこ?」
「モントリオール。」

…と、いうことはケヴェックだったっけ。
ぼくはあやふやな知識で、
当時習っていた、フランス語で話してみる。

「Oh, parlez vous Français」
(「フランス語を話すの?」)

当たっていた。
彼女は本当に、本当にうれしそうに、
満面の笑みで答えてくれたのだ。
「Oui! Parlez vous Français?!」
(「はい!あなたはフランス語話すの?」)

そこで、ぼくは返した。
最高の発音で 。

「Non, je ne le parle pas.」
( 「ううん、全然話せない。」)

その時の彼女の残念そうな顔と、
流れる沈黙が忘れられない。

(なお、「Parlez vous Français?」は、
間違いではないが、現代では変な言い方である)


■当時、上海では万博が開催されていて、
彼女も足を運んでいた。

宿での会話の途中、
過去の万博の話になった場面がある。
「他にも万博、行ったことがあるか」とか。

ぼくは過去、モントリオールで万博が
開かれたことがあったことを知っていたので、
ふれてみる。

「昔モントリオールでも万博があっただろ?」
「ええ、一九六七年にね」

「So, there is a MLB team Montreal Expos.」
(「だから、モントリオールエキスポズという
野球ティームがあるよね」

それに対する彼女の答えは、
ぼくにとっては驚きだった。

「No, there is no Montreal Expos
in Montreal now.」
(「ううん、モントリオールエキスポズは、もうないわ」)


■一九六七年モントリオール万国博覧会から
名前がつけられ、一九六九年に誕生した、
MLBティーム・モントリオールエキスポズ。
カナダ初、フランス語圏唯一だった
このティームは、
人気も成績も低迷して、
結局移転の憂き目にあっていたのだ。

僕たちの上海での会話の六年も前、
ちょうど大阪近鉄バファローズや
オリックスブルーウェーブがなくなったのと同じ
二〇〇四年のことだったから、
ぼくがただ無知だっただけである。


■移転してモントリオールから去った、
その後継球団が、
モントリオール時代も含めて初めての
WS進出を果たすのは、
エキスポズ誕生から五〇周年、
移転から一五年目の
そう、今年、二〇一九年の秋だ。

「ワシントンナショナルズWS進出」
というニュースを聞いたとき
ぼくが真っ先に思い出したのは、
あの、上海のホステルで会った、
カナダ娘のことだった。

令和元年一〇月二十六日
アカセ(明瀬祐介)
acsusk@gmail.com
https://twitter.com/acsusk/

-回想

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