アカセニッキ(明瀬祐介日記)

少しだけ役に立つ、または面白い内容を提供できれば。

所感

「理系は大学で数学を使わない」説。

投稿日:2019年10月28日 更新日:

■大学の二年生の、
有機化学の講義でだったかと思うが、
教授が雑談の中で、
笑いながら話していたことがある。

「この前の講義後、入学したての一年生に
物理の本を持ってこられて質問されまして…。
どうも理科の先生と勘違いしてるらしくてね。
大学の先生がいかに自分の研究分野以外のことは
何にも知らないかということを
こんこんと説明したら
納得して帰りましたわ」


■これは、謙遜もあると思うのだが、
おそらく真実で、
化学の大学教授は、
別に物理(力学とか)が分かるわけではない。
(分かる人もいる)

そして同様に、
ぼくがちょっと疑問視しているのが、
数学だ。
高校生なんかに先生が、
「理系は大学入ってからも
数学が必須やからな、
今の受験勉強も将来役に立つで」
と、あたかも今やっている勉強と、
「理系が大学ですること」が
直結しているかのようなことを言うことがある。

あれ、怪しい。

理系は大学で数学を使わない

いや、ごめん、それはさすがにうそ。
正しくはこうだ。

(一)「理系の中にも、
数学を(そんなには)使わない人も分野もあるし、
実は結構多い。」

(二)「特に、
大学受験でやっていることを
日常的に使っている、
と言う人はほとんどいないのではないか」


■上記(一)は、知っている人には自明で、
例えば化学系だと、理論化学を除く、
実験系はほぼ使わない。
おそらく、実験系の研究室の大学教員たちに、
自校の数学の入試問題で合格点を出せる、
という人はほとんどいないのではないか。

他の分野だって実験系はおそらくそうで、
分子生物学の研究者なんかが
日常的に微分積分を計算したりすることは、
ほとんどない。


■もちろん使う分野もある。

理論系のほか、
機械工学や情報学なんかは数学なんかはそうだ。

しかしそこでまた(二)がある。

「中学受験の難問は、
中学入学後はの役にも立たない」
「高校受験の難問は、
高校入学後には何の役にも立たない」
のと同じように、
大学受験の難問は、
大学入学後にはあんまり役に立たない。

「大学受験でやっていることをバリバリ使ってる」
という人は、ほぼいないと思われる。


■では数学が必要ないかというと
全然そんなことはなく、
常に必要だ。

しかし必要なのは
(もっと高度な分野まで、)
「一応分かる」
「知ってる」
という力であって、
なんというか、
「入試問題を解く力」
とはちょっと違う感じがある。


■だから、先生が、高校生なんかに語る、
「理系は数学を常に使うから、
今の受験勉強も役に立つ」
と、
「受験勉強が将来の研究に直結している」
かのような発言は、ちょっと方便だ。

とはいえ私は理系分野の研究者について、
実際のところというのをほとんど知らないので、
賛同や「いや、ばりばり使ってるし」
という人がいれば、
下記まで連絡いただければありがたく思う。

令和元年一〇月二十八日
明瀬祐介
acsusk@gmail.com
https://twitter.com/acsusk/

-所感

執筆者:

関連記事

人はなぜ文章のように文章を書くのか

■講演でも、演説でも、プレゼンテーションでもいい。 自分が一人で誰かに向かってしゃべっているところを思い浮かべてほしい。 あなたは自分のおしゃべりに、矢印で注意書きや補足を付け加えたり、 他の文へのリ …

no image

最近、「OL物」のドラマ少ないよね?

■私が高校生のとき、平成十三(二〇〇一)年くらいにNHKに「夜ドラ」という枠があった。 「ロッカーのハナコさん」とか、「ブルーもしくはブルー」という島谷ひとみがカヴァーした「元気を出して」が共通のテー …

no image

自分の中高を「インスタ」とすれば、大学は「2ch」だった。

■ぼくの中学高校が「東京に近い」「田舎の」「私立」「共学」「新設」「中高一貫校」だったため、異様にハイソサイエティ志向で、安全で快適で閉鎖的なリア充空間を作っていて、今考えるとすごく気持ち悪い場所だっ …

「愚公移山」と「半日村」。

■「愚公移山」(「愚公、山を移す」)と言う故事は、毛沢東に引用されたという歴史的経緯から、すっかり使いづらくなってしまった。 ■ある山あいの村で、一人の老人が、村を興すために山を動かそうとする。別の老 …

no image

「アマチュア」の純粋な楽しさ・美しさってのはやっぱりある。

■もうあんまり誰も視ていないかもしれないが、「いだてん」が面白い。 オウプニングだけでも泣ける。なんかあのオウプニング映像、「人間の営みの偉大さ」 みたいなのを感じませんか? ■ 「いだてん」の時代の …