アカセニッキ(明瀬祐介日記)

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所感

地方には、「基本学術書」をふらっと手に取れる本棚がない。

投稿日:

■以前、
「高校と大学に通うと、
時間と費用を大きく損する。
高認試験で高卒相当資格を取り、
通信制大学で学んで大卒資格を取れ。
もし、さらに学問がしたいのであれば、
(あるいは学歴に箔をつけたいときも)
大学院から行き始めればよい」
ということを書いた。

この考えに嘘や誇張は全くない。
現在、学部レヴェルの学問は
日本のどこででも独学でできるし、
その方が絶対に効率が良いからだ。

だから、
地方に住んでいる若者で、
学問への確固たる意志を持ち、
学問の正しい方向を理解している人は、
少なくとも学部までは
地方の、家族の元に住み続けた方が、
絶対に良いと断言できる。


■しかし、実は、
特に地方で、
「確固とした意志」と
「学問の正しい方向の理解」
を持つのは、想像以上に難しかったりする。

個人や家庭の資質もあるが、
(特に地方に)
“基本学術書”を
ちらっと見る環境がない

ことも大きいと思う。

ここで、
「基本学術書」というのは、
「専門の入門書」
「大学一年生向けの教科書」
にあたる本だ。
適切な言葉がないので、
こう呼んでみたい。

高校生向け・一般向けの本は
分かりやすく面白く書かれている一方、
ここでいう「基本学術書」は
あくまでアカデミックなものだ。
ある学問の基本的な事柄が
体系的に記されており、
それを読めばその学問について
一通り分かる

読むのにちょっと根気がいるが、
しかし、まったくの素人であっても
読めないことはない、
というレヴェルで、
素人と玄人の架け橋となる。

本当の「学術書」「専門書」は、
なくてもかまわないと思う。
「志がある人」は、
どこででも読むことはできるのだ。
(そもそもジャンルを問わず
専門書が常備してある本屋など、
東京にも十軒前後しかない)

しかし、その
「志のある人」
を生み出し、
概ね間違っていない
方向に導くために、
「基本学術書」が必要だ。
それは、できれば自然と手に取れる
本屋や図書館(できれば開架)に
あってほしい。


■私は一八歳の時まで茨城県の
人口二万人前後の農村にいた。
現在、長野県の人口一〇万人前後の
中小都市に住んでいる。
どちらも住むのに不便はなく、
いい場所だと思う。
学問の独学だって、
「志のある者にとっては」
何の不便もない。
しかし、その
「志を持つ」のが大変だと思う。

まず、人口二万人の街には、
そもそも書店というものがなかった。
図書館はあるが、
蔵書数は五万冊。
とても「学問を体系的に学ぶ」
ことができる場所ではない。

車で三〇分行けば
結構大きな書店があるが、
それでも「基本学術書」は
なかったりする。

(例えば、店名を出してしまうと、
イオンにある未来屋書店。
これもいい書店だが、
「基本学術書」はほとんどない)


■人口一〇万人レヴェルの街になると
多少状況がよくなる。

大の図書館は蔵書数約四〇万冊。
開架率は六割ということだから、
最大の館に行けば
二〇~三〇万冊前後が開架でみられる、
ということになろうか。

ちょっと大きめの郊外型書店もあり、
そこで新刊は大概手に入る。

しかし、どちらも
「基本学術書」が本棚に常備してある、
ということはない。

(さすがに人口三〇万人以上の、
県庁所在地や、
政令指定都市になると、
行動範囲内のどこかに
「基本学術書」がある本棚がある場合が多い。
「県立図書館」や丸善ジュンク堂みたいな大書店だ)


■これは結構大きなことだと思う。

ある学問の独学に必要なことは
「基本学術書」に全部書いてある。
「基本学術書」を読んでいれば、
(独学でも)そう間違った方向には行かない。

世の中の、
「ちょっと大きな本屋」くらいに
主な学問分野の「基本学術書」が
常備してある社会になれば、
(それも、せいぜい一〇〇冊くらいだと思う)
世の中もっとよくなると思うのだが、
どうだろうか。

令和元年一一月一〇日
アカセ
acsusk@gmail.com
https://twitter.com/acsusk/

-所感

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