アカセニッキ(明瀬祐介日記)

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デービッドアトキンソンはどこが間違っているのか。

投稿日:

■以前、デービッドアトキンソン著
「日本人の勝算」の
「最低賃金を継続的に上げることで
日本企業の生産性を強制的に高めさせよ」
という論について考えてみたことがある。

当時の私は今以上に情緒的・経験的な話に終始し、
理論的に反駁する力に乏しかったので、
今読むとずいぶん恥ずかしい。


■しかし今日(令和二年四月現在)、
アトキンソンの「最低賃金継続上昇」論に
賛同する人はいないだろう。
「あの時とは状況が違う」
と言う人もいようが、
やはりほんの数か月で撤回せざるを得なかった、
「最低賃金継続上昇」論には
根本的な問題があったのだ。


■ 「最低賃金上昇」論は、
生産年齢人口減少に伴う、
「半永久的な人手不足」
を前提にしたものだった。

しかし、仮にその予測に立って
「最低賃金上昇政策」
を開始してしまえば、
その後、「何らかの原因」で
ひとたび失業が増えた場合、
その失業者がずっと滞留する
だけで
終わりである。

もちろんその時は政策を曲げて
最低賃金を再度下げればよい。

しかし、そのときどきの情況に応じて
「最適な最低賃金」を、
常に設定しつづけていく、
などということは技術的に難しい。
そもそも「適切な最低賃金」は
立場によって異なるため、
その決定は政治的にも困難
を極める。
そんな、全く効率的ではないことを
無理やりやろうとしている時点で
やはりこの構想は「社会主義的」だったのだ。

(昨今の情勢変化の度合は確かに大きいが、
程度の問題で、この欠点は最初からあった)

(この欠点は、
逆に人手不足のときにもなくなるわけではない)


■結局「経済構造全体の変革」は、
各企業が減給・解雇・倒産といった
「失業」「廃業」を伴う選択肢を含めて考え、
そのときどきで最適だと思う選択を
していくことでこそ実現する。
やはり「最低賃金上昇」のような、
そもそも
「永続企業による中長期の雇用」
「多くの人が雇われて働く社会」
を前提とした政策、
「失業」や「廃業」を無視した政策、
そして政府が「望ましい経済の姿」を決め、
そこに向けて誘導する、という政策には
限界があったのではないか。

令和二年(2020年)四月一六日
明瀬祐介
acsusk@gmail.com
https://twitter.com/acsusk/


(つけたり)
■ではどうすればよいかというと、
「ベイスィックインカム」を導入し、
「働かなくても最低の暮らしはできる社会」
を実現したうえで、
最低賃金と解雇規制を緩和・廃止すればよい。

これは、最低賃金上昇と
実質的に同じ効果
(経済の効率化)をもたらす一方、
最低賃金上昇論に比べて以下の点で有利だ。

「失業者にも、雇われていない人にも
直接恩恵があるため、
社会保障としてより広い範囲をカヴァーできる」

「就職難にはならない」
(最低賃金は、程度の問題ではあるが、
人を雇う際のネックになること自体は確実だ)

「最低賃金と異なり、
雇用者vs.労働者の政策対立になりにくい」
(最低賃金の場合、時給10円という
単位であっても雇用者側は上げないよう
政策圧力をかけるだろう)

「多少の経済情勢の変化であれば
即座に数字を急変動させる必要はない」
(最低賃金の場合は、
失業者・求職者の情況を考慮に入れ、
最適な数字を検討しなければならない。
急激な大不況の場合は一気に
半分にしたりする必要さえあるのではないか。
BIは「生活できる数字」であればよい)

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