大相撲制度改革私案(2)
- 前回に引き続き、大相撲改革私案を書いていく。
- (1)入門年齢制限の撤廃・もしくは緩和
現在の制度下では、25歳以上のものは、どんなにアマチュアでの実績があっても大相撲に入れない。
将棋界は相撲界と似た部分があって、やはりプロ入りに年齢制限があるが、近年になって、アマチュアで大きな実績を上げればプロ入りするルートが開けた。もちろん将棋は身体競技ではないから、古希を過ぎても活躍する人もいて、その点で相撲とは異なるけれど。
同じ身体競技である野球でも、落合博満は26歳でプロ入りして、三度の三冠王に輝いた。
大相撲界でも、かつて、智ノ花は27歳で入門して小結まで上がり、今でも年寄・親方として弟子を育てている。一度入門したらその先年齢制限はなく、50歳の力士だっている。
そんな中、現在の相撲界は入門が25歳未満、つまり24歳まで。これはいくらなんでも短くないか?
見込みがなかったり、周りの力士と年齢差がありすぎて人間関係に問題ができそうだったりする、というのが年齢制限の理由であろう。
が、そもそも何の希望もないような状況だったら師匠になる親方が入門させなければいいではないか。
年齢制限を設けるにしても、せめて30歳くらいまでとか、あるいはアマチュア横綱の入門には年齢制限を設けないとか、一定の緩和をしてもよいのではないか。
- (2)一度角界を離れた力士の角界復帰/NHK解説への招聘
現在の大相撲では、一度角界から離れた元力士は相撲協会の職員として戻ることはできない。
野球やサッカーでは、一度その世界を離れて、また戻る、というのが普通だ。むしろずっと球界にいる方が「世間を知らない」と、ネガティヴに取られることすらある。
大相撲だって解説やほかの世界などで“修行”を積んで、またコーチ的に戻ってくることがもっとあってよいのではないか。
(部屋単位ではこういうこともあって、北尾=双羽黒がコーチ的な職で部屋に戻ったことがある)
これは大相撲年寄制度が、
「年寄株保有者を正規雇用とする、終身雇用」
みたいな制度だからで、それを急激に・全面的に替えろとは言わないけれど、民間企業同様、少しは中途採用もあってよいのでは。
また、NHK解説もほとんど協会の解説担当と、フリーであるはずの舞の海(少し前までは北の富士)が回している(AbemaTVでは元力士が解説しているらしい)。一度だけ退職後の輪島がNHKに来たことがあったけれど、もっと元力士を呼んでほしい。
- (3)横綱の返上・降格(現役続行)を“認める”
ご存じの通り、一度横綱になった力士は降格“できず”、あとは引退しかできない。大体の場合は怪我が増え、「休場か、出場して優勝か」というステージを経て、「休場しても活躍できない」という段になって引退する。
これを横綱の美学のように言う人もいるのだけれども、別に一度横綱になった力士であっても、下位に下がってのんびり取ってよいのではないか。
過去には千代の山が返上を申し出たことがある。横綱にも大関と同じような「二場所連続負け越しで降格」を協会が発表したことだってあった。
もちろんこれまでの「横綱の美学」を守りたいという力士がいてもいいと思うので、強制降格ではなく、本人の申し出による“返上”を認めても良いのではないか。
かつて、昭和くらいまでは、大関も、「陥落すればほぼ引退する」という地位だった。それが平成になって、小錦や霧島、貴ノ浪が陥落後も長く平幕で取ることで、ファンを楽しませてくれ、現在では陥落後の大関が現役を続行することは普通になっている。横綱にも返上後に平幕でファンを喜ばせるものがいてもよい。
- (4)(国技館改修中の)札幌での本場所開催
現在の年間本場所開催回数は、東京3、大阪、名古屋、福岡が各1となっていて、これはここ70年くらい変化がない。
一度新しい地で場所を開いてみよう。
私のおすすめは札幌で、大鵬・北の湖・千代の富士の、昭和戦後の三大横綱を生んだ地である。
新しい場所での本場所ならば九州場所以来約70年ぶり。話題性もじゅうぶんだ。
場所がない?日本ハムファイターズに逃げられた札幌ドームがあるではないか。割れ鍋に綴じ蓋とはこのことよ!
現国技館も40年となり、そろそろ耐用年数に近づいてきた。
どうせ国技館改修はいずれやらなければならないのだから、大相撲の裾野を広げる積極的な機会にしてほしい。
なお、改修の暁には、国技館は、東京駅よろしく、あの、空襲で焼けた辰野金吾設計のドームをよみがえらせてほしい。
2024年06月28日公開
2024年06月30日更新